尿酸値が高いと慢性腎臓病の危険性も、その因果関係を説明

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【医師監修】
慢性腎臓病(CKD)

幸手クリニック 院長
山崎昌洋先生に監修していただきました。

尿酸値の高い状態を放置すると、慢性腎臓病(CKD)になるリスクも高まります。そこで今回は、

  • 慢性腎臓病と高尿酸血症の因果関係
  • 慢性腎臓病の症状
  • 慢性腎臓病の予防法

を以下にまとめました

高い尿酸値が慢性腎臓病(CKD)を
引き起こすメカニズム

腎臓は血液の老廃物を濾過し、体内の水分量、血液のpH、ミネラルなどを一定に保つ重要な臓器です。
長期にわたって尿酸値が高い状態の人は、長い時間をかけて徐々に腎機能が悪化していく慢性腎臓病(CKD)になるリスクが高くなります。
高尿酸血症そのものも血管内皮にダメージを与え、動脈硬化に関与していますし、尿路結石や腎臓に尿酸塩結晶が沈着して生じる痛風腎という病態もあります。しかし、高尿酸血症の方でCKDが進行する原因はメタボリックシンドロームや高血圧・糖尿病などの他の生活習慣病の合併によるものも大きいと考えられています。心筋梗塞や脳梗塞のリスクもそうですが、腎臓も合わせ技で悪化するのです。
CKDは具体的には検尿異常(特に蛋白尿)、あるいは、糸球体濾過量(腎臓がどれほど老廃物を排泄する力があるかの目安)の低下が3ヶ月以上続くこととされています。
糸球体濾過量の目安となる数値として、血清クレアチニン値があります。クレアチニンは腎臓の糸球体という部分でこし出されて尿として排せつされる老廃物の1つで、血液中に増えると腎臓の機能が低下しているサインとなります。

慢性腎不全の症状は?

腎臓は血液のろ過装置として機能しています。
毎分1~1.2リットルもの血液が流れ込み、必要なものは再吸収され、血中の老廃物がろ過されて、尿の中に排せつされます。
また、排尿を通じて、塩分などのミネラルやpH、体内の水分量を適切に調整することも腎臓の大切な働きです。
それだけでなく、血圧を調節するホルモンや、骨髄に刺激を与え血液を作り出すホルモン(エリスロポエチン)を産生する内分泌臓器でもあります。
また、腎臓は体の中のカルシウムのバランスを保つために重要なビタミンDの活性化にも関与しており、骨の強さとも密接な関連がある臓器のひとつです。
しかし腎臓は機能が衰えても、最初のころはほとんど症状がなく、正常の働きから見て1/5程度まで機能が低下しないと、自覚症状があらわれません。それゆえに肝臓と同様、沈黙の臓器と呼ばれています。 腎臓機能の低下の自覚症状として、

  • (特に夜間)尿の量が増える
  • 血圧が高くなる
  • 目の周りや足がむくむ
  • 貧血になる
  • 皮膚にかゆみが出てくる
  • 疲れやすくなる
  • 息切れがする
  • ベッドで横になれない、息苦しくて座ってしまう
  • アンモニアの口臭がする

といったものがあげられますが、腎臓特有の症状というのは限られています。下に行くほど腎機能の低下が進んでいる証拠で、特に下三つぐらいになると、人工透析も近づいており、かなりの危険水準に至っていると考えてください。

慢性腎臓病に痛みはあるの?

腎臓の表面を覆う腎被膜という膜が、外側に引き伸ばされると痛みが生じます。そのため、何らかの原因で腎臓が腫れると痛みを感じます。
腎臓は両手を腰に添えて胸を後ろにそらすときに、手を置く位置と言われています。
腎臓が痛む原因は、尿路結石、感染症(腎盂腎炎など)、出血、腎梗塞、悪性腫瘍などがありますが、背中の痛みは腎臓の痛みとは限りません。骨や筋肉の痛みはもちろんですが、お腹や大血管、骨盤内臓器が痛みの原因であることもあります。
骨や筋肉よりも深いところから痛みが来ているようであれば、医師の診察を受けてください。
繰り返すようですが、腎臓は沈黙の臓器です。
慢性腎臓病だけで痛みを生じることはありません。

慢性腎臓病の予防法は?

慢性腎臓病は生活習慣の悪化が引き金になると言われています。
生活習慣の改善(禁煙、減塩、肥満・運動不足の解消、節酒など)は腎臓を守る基本です。
特に「喫煙」と「肥満」は改善することで腎障害の進行を抑えることがはっきりしています。
当てはまる人は禁煙と運動習慣をスタートして、暴飲暴食を控える必要があります。

上述した通り、尿酸値が高いだけでも動脈硬化の危険因子となるので、尿酸値の改善にも取り組みたいです。

  • 過度の緊張やイライラなどのストレスを解消する
  • 肥満を解消する
  • アルコールの飲み過ぎを控える
  • エビ、レバー、ステーキなどプリン体の多い食物の摂取はほどほどにして、穀物や野菜などをバランス良く食べる
  • 水分補給を小まめにする

など、生活習慣を見直すことで、尿酸値をさげ、慢性腎臓病だけでなく心筋梗塞や脳梗塞などの予防につなげましょう。

生活習慣の改善が難しいなら?

ただ、上述したような生活習慣全体の改善となると、なかなか大変かもしれません。
まずは最低限でも実践できる取り組みからスタートしてください。
「やらなければならない」という義務感も最初は必要かもしれませんが、とにかく毎日少しでいいから運動や食事の改善を続けて、習慣にしてしまうことです。
無理なダイエットは逆に腎臓に負担をかけることもあるので、ゆっくりやりましょう。
動脈硬化だけでなく、肺気腫や各種がんの原因ともなり、大切なご家族の受動喫煙の問題もあるので、禁煙だけは早いほうがいいですが、強い意志とニコチン補充が必要になります。
今までの人生でタバコにいくら費したか計算してみるのも禁煙のモチベーションにつながる人もいます。 難しい時は禁煙外来の受診も考慮してみてください。

幸手クリニック 院長
山崎昌洋先生にここまで監修していただきました。
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