
【医師監修】
高血圧

- 幸手クリニック 院長
- 山崎昌洋先生に監修していただきました。
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高尿酸血症と高血圧は合併しやすくお互いを悪化させる要因となる
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高尿酸血症と高血圧が合併したときの症状
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高尿酸血症と高血圧の合併を予防するには?
高い尿酸値は高血圧の引き金に・・・
高尿酸血症と高血圧の因果関係とは?
これまでの多くの臨床研究で高尿酸血症があると高血圧発症が発症しやすくなることが知られています。
その理由として、肥満、レニン・アンジオテンシン系、腎障害など高血圧と高尿酸血症には共通の背景因子があるためと考えられています。
肥満は高血圧、高尿酸血症だけでなく、糖尿病、脂質異常症などと関連して、動脈硬化を進行させ、脳梗塞・心筋梗塞などのリスク因子となっています。
レニン・アンジオテンシン系とは簡単に言うと、全身の血圧を保つためのシステムで、腎臓の働きと密接に関与しています。具体的には水分やナトリウムを体内に保持し、全身の血管を収縮させることで血圧を保ちます。
生物が海から陸に上がるときに、いかに体内に水分と塩分を保持するかが極めて大切で、そのために必須のシステムだったのですが、この働きが強まることが高血圧の大きな要因となっています。また、このレニン・アンジオテンシン系は尿酸の排泄も抑制するので、高尿酸血症にも影響しています。
腎臓では糸球体という小さな血管の塊が血液の濾過に重要な役割を果たしていて、高血圧や動脈硬化によりこの糸球体がダメージを受けて、腎機能が低下していきます。
また、レニンという物質は、腎臓の細胞が糸球体の血流の低下を感知して産生し、これが全身の血圧上昇の引き金のひとつとなっています。
このように、腎障害と高血圧はお互いに悪化の原因となっているのです。
また、高尿酸血症は血管の動脈硬化や腎臓への尿酸塩の沈着という形で腎臓に悪影響を与えますし、腎機能が悪化すると尿中への尿酸の排泄が低下して血清尿酸値が大きく上昇することになります。
高血圧の症状は?
通常の高血圧の自覚症状は基本的にはありません。
ですが、高血圧が持続することで多くの合併症を引き起こすので、サイレントキラーと言われています。
強い高血圧の場合は、頭痛、めまい、吐気、動悸などの症状が出ることがありますが、それらの症状が原因となって、いつもより血圧が上がっている場合もあります。
さらに怖いのは脳出血や脳梗塞といった疾患が原因で上記のような症状が出ることもあります。
当然ながら高血圧はそれらの疾患の危険因子ですから、いずれにせよこのような症状がある方は病院でチェックしてもらう必要があります。
高尿酸血症と高血圧の合併を予防するには?
高尿酸血症と高血圧の合併を予防するには、総合的な生活習慣の改善が重要になると紹介しました。
具体的には、塩分制限とカロリー摂取制限,ウォーキングや水泳などの有酸素運動,アルコールの制限などです。
また水分をこまめに取ることも大切です。その際は糖分の入っていないものを選んでください。
高血圧と高尿酸血症は合併してしまうことで、心筋梗塞や脳梗塞、腎機能障害などが生じやすくなりますので、高血圧のある方は上記の生活習慣に加えて高血圧の治療をきちんと行っていくことが大切です。
また、高血圧のある方の場合は、そうでない方よりも血清尿酸値の目標が低めに設定されています。
尿酸値も血圧もコレステロールも他の生活習慣病の危険因子があると、治療の必要性が増して来るのです。

- 幸手クリニック 院長
- 山崎昌洋先生にここまで監修していただきました。