高尿酸血症、尿酸値を下げるには食事療法が大切

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【医師監修】
高尿酸血症の治療は
食事療法が基本

幸手クリニック 院長
山崎昌洋先生に監修していただきました。
  • 高尿酸血症、尿酸値を下げるためには産生と排泄のバランスを整える食事療法が基本
  • 産生を抑えるため高プリン体の食物を控え、適切なカロリー摂取が大切
  • 尿酸を溶かし排泄をうながすため、尿のアルカリ化と1日2L以上の水分補給が大切

尿酸値を改善!高尿酸血症の食事療法

尿酸値を上げないためには食生活の改善がカギ!

健康な人であっても、肝臓ではプリン体の代謝産物として尿酸が毎日産生されています。
通常、尿酸は主に尿から排泄されますが、一部は腸から排泄されます。
産生と排泄のバランスが崩れたときに尿酸値があがります。
その要因として、肥満や高プリン食、アルコールの過剰摂取があります。ですから、食事療法は、カロリー制限、高プリン食の過剰摂取を控えることが基本です。
プリン体は、細胞の核などに含まれている物質で、旨味の成分となっているとも言われます。
動物にも植物にも存在していますが、食品によって含有量の違いがありますので、尿酸値が気になる人は、以下に示す高プリン食の食べ過ぎを制限したいです。
ここで、高プリン食の「過剰摂取」「食べ過ぎ」と書いているのには訳があります。実際にはプリン体は体内で産生されるものが7-8割、食事から摂取されるものは2-3割と言われていますので、食べ過ぎなければ大丈夫です。
それよりも摂取カロリーを制限するダイエットのほうが重要です。

我慢したい食べものやお酒は?

プリン体が多く含まれた食べ物や飲み物は、過剰に口にしないようにしたいですが、具体的にはどういった食べ物、飲み物に注意すればいいのでしょうか。
一食分(一人前)に含まれるプリン体の量が特に多い食品としては、

  • アンキモ
  • シラコ
  • レバー

が知られており、

  • 牛ヒレステーキ
  • 豚ロースステーキ
  • カツオの切り身
  • クルマエビ
  • アジの干物
  • サンマの切り身
  • マグロの切り身
  • タラバガニ
  • ヒラメの切り身
  • マダコ
  • 干物
  • 魚卵

肉類や魚介類には総じてプリン体が多く中でもレバーなどの内蔵に多く含まれます。
お酒に関しても、

  • 紹興酒
  • ビール

は特にプリン体が多いと言われておりますが、アルコール摂取そのものが尿酸値を上げる要因となり、肥満やメタボリック・シンドロームの原因となりますので、プリン体の少ない飲み物だからといって、過剰に摂取することは控えましょう。

カロリー控えめが大切。肥満が尿酸値をあげる。

尿酸を抑える食事療法の基本となるのは、摂取カロリーを制限し、プリン体の少ないものを食べることですが、同時に、尿をアルカリ化する食品を摂取することもおススメです。
尿をアルカリ化することで、尿酸の尿中への排泄を促すことと、尿路結石を予防する効果が期待できます。
何度かこのサイトでも取り上げておりますが、サラダや海藻、きのこ類や大豆。などの尿をアルカリ化するものを食べることをオススメします。
カロリー控えめの食事が高尿酸血症を予防する
肥満は尿酸値と密接に関係し、BMIや体脂肪率の高い人ほど尿酸値が高い傾向にあります。
また砂糖や果糖の入った飲み物(清涼飲料水)なども痛風と密接に関係しています。
そのため、低カロリーの食物を食べることをおすすめします。
野菜、穀物、果物、イモ類、乳製品など、普段からバランスの良い食事が、高尿酸血症の予防には大切になってきます。
肉類・魚介類などの動物性蛋白は血清尿酸値を上昇させ、過剰摂取は尿路結石のリスクとなります。
肉類や魚類を完全に忌避する必要はありませんが、節度ある食べ方が大切になります。
茹でるとプリン体が減少するので、茹で料理をオススメします。

ここで、プリン体の少ない食べ物もあげておきます。

  • お米(玄米、白米、胚芽米)
  • 小麦粉
  • そば
  • サツマイモ、じゃがいも、トウモロコシ
  • コンビーフ、ソーセージ
  • ちくわ、さつま揚げ
  • カズノコ、スジコ
  • 鶏卵
  • 牛乳、チーズ、バター
  • 果物、野菜、海藻類

主食となるお米やパンなどはもともとプリン体が少ないのですが、カロリーの過剰摂取は様々な生活習慣病の原因となるので、腹八分を目標に食事をしてください。果物に含まれる果糖も摂りすぎることで尿酸が上昇し、痛風のリスクも増加しますので、やっぱりバランスが大切ということですね。
また、これはあくまでプリン体の少ない食べ物ということで、ほかの疾患の食事療法とは相容れないものもあります。

水分摂取は高尿酸血症を予防・改善する

身近な食事療法の1つとして、適切な水分補給も知られています。1日2-2.5L程度の水分補給を目安にしてください。そもそも水分が不足して血液が濃くなってしまうと、血清尿酸値が高くなります。また、血液だけでなく尿も濃縮されてしまい、尿が濃縮されると、尿路結石のリスクも高くなります。
その意味では、日常的な水分補給が高尿酸血症の予防・改善方法と考えられます。
上述しましたとおり、同じ水分補給でも、糖分を含んだ飲み物やアルコールでは意味がありません。極度の利尿作用のあるものも、かえって尿酸値を上げてしまうものがあるので、気をつけてください。
一般的にコーヒーを1日4杯以上飲むことや、牛乳を飲むことで尿酸値が下がることは知られています。
柑橘類に含まれるクエン酸は尿をアルカリ化する作用が期待されます。クエン酸カリウムは尿路結石の治療や予防にも用いられます。
炭酸水素ナトリウム、いわゆる重曹も血液や尿をアルカリ化するため、以前は結石の予防に使用されていましたが、飲みすぎると血圧の上昇やむくみの原因になるため現在は使用されません。
クエン酸はかなり酸っぱいので、炭酸水やジュースに混ぜるなど、摂取の仕方に工夫をしてください。

尿酸値を下げる食生活まとめ

以上をまとめると、尿酸の産生を抑え、排泄をうながすことが大切です。
カロリーを意識した食事と過剰なアルコールの摂取を控えること、1日2-2.5L程度の水分補給もよいでしょう。

  • タンパク質は大切だが、肉や魚類の過剰摂取は尿酸値上昇の元
  • 穀物や野菜、海藻、イモ類などプリン体の少なく尿をアルカリ化できる食べ物をバランス良く口にする
  • アルコールは適量
  • 普段から多めの水分補給を心掛ける

といった工夫が、尿酸値を下げていきます。
また、肥満の人は血清尿酸値が高い傾向にあります。バランスのいい、適量の食事は肥満改善にもつながります。
肥満はそのほか多くの生活習慣病と密接な関係があります。
尿酸値のコントロールは、まず食生活の改善から始めたいです。

幸手クリニック 院長
山崎昌洋先生にここまで監修していただきました。
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